プログラムの成果

教師のリアルな体験が
子どもたちに感動を与える

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個人の深化
中峯 敦子
鹿児島県

2011年 アリゾナのイモムシ調査に参加。2019年より鹿児島県立博物館にて学芸主事を務めている。

簡単にプロフィールを教えて下さい。
長年小学校教師をしていましたが、2019年より鹿児島県立博物館にて学芸主事として、無脊椎動物(昆虫)を担当しています。2011年夏の「気候変動と森のイモムシ」調査への参加は自身のターニングポイントになりました。
プログラム参加によって環境教育への想いはどのように変化しましたか?
環境教育について。マスコミや教科書に掲載の話題(地球温暖化、生物多様性、外来種問題等)についてプログラムでの体験を裏付けにして子ども達に「生の声」を語ることができました。花王・教員フェローが行ってきたプログラムは、地球レベルで起こっている事象を子ども達に効果的に伝えるスキルを教師に与えるものだったと思います。教員は子ども達を前に事実を伝え続ける使命がありますが、事実を伝えられるだけの感性と知識量がなくてはなりません。
子ども達の変化、同僚や保護者の変化で気づいたことについて教えてください。
1枚の砂漠の写真を見せて「先生,この前行ってきたんだけどね。」という魔法の言葉を付け加えたとたん、驚きと好奇心とあふれる疑問で目がキラキラになる瞬間は期待通りでした。授業も大いに盛り上がり、楽しい学習となります。環境教育は他人事である限り子どもたちの心には届きませんし、子ども自身の思考も広がりません。ましてそのような状態で「行動」につながりません。知識ではなく体験から「事実」が語られることは大きな効果を生み出します。
プログラムから持ち帰ったトピックは自然科学のみならず人種、社会、流通、貿易、コミュニケーションなど多岐にわたりました。プログラムでのエピソードは「理科」「社会科」「道徳」「英会話活動」「キャリア教育」「国際理解教育」「人権教育」などの学習に臨場感、リアルさ、切実さをもってくることができました。これは一般的な視聴覚教材とは全く違うものです。
今でも忘れられない思い出がありますか?
派遣は震災の年でした。初対面の挨拶の時、アメリカ人ボランティアから「大変だったね。大丈夫だったか。」と二言目には気遣いの言葉が添えられ、同じ地球上の出来事を共有しているのだと涙が出ました。また、英会話は流ちょうではありませんでしたが、生物関係の英単語(種、寄生、幼虫、蛹、擬態等)の知識は、特にお酒を入れながらのイブニングレクチャーを楽しいものにしてくれました。
周囲に及ぼした事柄があれば教えてください。
地域の理科の自主研修の中で、教員が自らの専門性を高めるために、企業やNPO等が主催、後援する価値のある研修を活用することを紹介しました。その一例として「花王・教員フェローシップ」を挙げました。自分磨きの機会は自分に合ったものを自分で探す、与えられるのを待つばかりではいけないことを伝えたかったのです。