プログラムの成果

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視点・実践の変化
堀江 優太
茨城県

2014年南アフリカのペンギン調査に参加。環境教育に関して捉える時間軸の幅が大きくなった。

プロフィールを簡単に教えて下さい。
大学卒業後、中学校の理科教師をしていました。花王・教員フェローシップに参加したことにより世界に目を向けるきっかけを得て、2018年から2年間ルクセンブルグの日本人補修授業校(小1〜中3の生徒対象)に勤務し帰国。2020年4月より、地元の小学校で教えています。
プログラム参加によって環境教育への想いはどのように変化しましたか?
捉える時間軸の幅が大きくなったことが、自身の環境教育についての考え方の変化です。現地でのペンギン調査は30年間続けられてきました。それほどの長期間、同じ調査を続けてきたからこそ、見えてくるものがあります。環境に関する基礎研究というのは、大きな時間で物事を考え、地道に活動しなければならないのだと実感しました。この実感は、私が子どもに対して環境教育を計画するときにも影響しました。過去はどうだったのか、今から10年後はどうなるだろうか、自分は50年後、どんな地球にしたいか。そのような視点をもつことができれば、子どもたちの考えの幅や教育効果が高まっていくと思います。
なにか周囲に及ぼしたインパクトを物語る事柄があれば教えてください。
このプログラムをきっかけに、教員フェローの一人から紹介いただいて東京大学で環境教育をされている先生と連携した活動を実施し、環境委員会を設置しました。
教師の体験を授業の中で伝えることは様々な制約を受けます。授業では学習指導要領における目標と合致しているか、年間の計画にどのように組み込むか、その組み込む目的は何かなどを明確にしなければなりません。また、環境教育は長い期間をかけて少しずつ子どもに気付かせる必要があることから、一時間の授業を単発で行うことと相性がよくありません。
環境委員会では「長期間一つの対象を定期的に観測し、その結果を集約して全校の生徒に情報発信することで環境意識を高める」ことを目標にしました。例えば野菜を学校の畑に植え、定点観測を行い、いつ、どんな変化が起きるかを観測しました。一年限りの活動にとどまらず数年続けることで、植物の成長と年ごとの違いを観察できます。(芽が出てから花が咲くまでの時間に違いはあるかなど)ペンギンの調査はできなくても、身近なことで環境調査をすることができるよい例だと考えます。
実践した環境教育の事例について教えてください。
プログラム後に実践したことは以下のようなものがあります。
・全校生徒に向けた南アフリカのペンギンの成果発表
・理科の単元(科学技術と人間)で、本プログラムと石田秀輝先生の資料を基にESDの授業を実施。(一時間で終わらない単元を通した授業での活用)
・環境委員会の設置(植物の定点観測,その結果について大学の先生に指導を受け,全校に公表)(設置から3年)
・文化祭で学校が取り組んでいる環境教育について地域に発信(過去3年)
 (環境委員会の成果,東京大学の環境教育に関する展示科学技術)
・長野県志賀高原への自然体験学習の実施(毎年8月、過去3回実施)(東京大学との連携)
・学校における環境教育と定点観察について東京大学で発表(1回)
・上記の研究結果をまとめた研究論文の発表
Characteristics of Students Who Frequently Conduct Plant Observations: Toward Fostering Leaders and Supporters of Fixed-Point Observation of Forests