プログラムの成果

教師のリアルな体験が
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周囲への影響
岸本 直子
東京都

2019年コスタリカの水棲哺乳類調査に参加。環境教育で重要なのは自然が好きで、大切に思える人を育むこと。

簡単にプロフィールを教えてください。
大学院終了後、社会公民科の教員になりました。現在は國學院大學久我山中学高等学校に勤務しています。趣味はジャズボーカルとサックスです。
プログラム参加によって環境教育への想いはどのように変化しましたか?
SDGsに注力して貧困・経済・ジェンダー等を主なテーマとして授業展開していましたが、プログラムに参加して自分の専門とは異なる分野の学問に触れることで、視野を広げることができ、興味の幅が広がりました。プログラム参加後、本校理科教員が希望生徒を対象に実施している富士山周辺理科巡検に参加しましたが、そこでは改めて日本の自然の豊かさにも気づくことができました。日本の高等教育では、科目を文系・理系に分けて履修させることが多いですが、様々な分野の学問に触れ、幅広い視点で世界を見ることの大切さを感じました。
チームメンバーは皆コスタリカの自然に感動し、その経験を伝えることで環境保護の裾野を広げていくことの方を大切にしているように感じ、とても感銘を受けました。今まで、環境教育といえば、資源やゴミ、 気候変動、エネルギー問題などに気づき、それに対して何ができるか、ということを考えさせるものだと思っていましたが、このプロジェクトを通じて、環境教育で重要なのは「自然が好きで、大切に思える人を育むこと」なのではないかと考えるようになりました。この先、 多くの子ども達に、大自然に触れて感動できる機会をたくさん与えることができればと願っています。
体験を教育の現場でどのように応用・共有しましたか?
高1倫理では、西洋近代哲学分野の「科学・技術と人間」という単元で、自然科学成立の思想的背景について理解させ、 科学技術の功罪や近代科学における自然観について考察させました。また、発展学習として環境倫理について、 「環境を守る理由」や「自然の生存権」というテーマで対話を行い、コスタリカでの経験を紹介しながら、 自然と人間との関わりについてこれまでの見方を省み、新たな社会のしくみや経済のありかたなどを考えるきっかけを与えました。
この授業実践は実体験がなくてもできる題材ですが、コスタリカでの自身の体験を下敷きにして実施できた授業であったから、生徒たちがより自然や環境について興味を持ち、対話を通して思考が深まったように感じます。

中 3 公民の授業において「企業の社会的責任」の単元で、CSRの理念について説明し、CSRの例として、花王・教員フェローシップについて紹介しました。その後、生徒達はグループごとに一台ずつタブレットを用いて、好きな企業のCSRについて調べ、発表しました。生徒達は、様々な企業でCSR活 動が行われているということに驚き、それぞれの企業の活動に大変興味を持っていました。

また、放課後に希望者に対して講演会を実施したところ、 生物や環境問題に関心が高い、中3から高2までの生徒が集まりました。質疑応答ではコスタリカやアースウォッチの活動、現地でのコミュニケーションなどについて多くの質問が出て、生徒達の関心の高さが覗えました。生徒の感想には、「“Nature makes me happy”という言葉がとても心に響いた。また『環境教育で重要なのは自然が好きで大切に 思える人を育むこと』ということが自分のこれからの環境に対する意識に強い印象を与えた。」というものがあります。
ボランティアプログラムで特に印象に残った事柄がありますか?
講義は研究主任のレニンによる一方的なレクチャーになることがなく、ボランティアメンバーが疑問点や気づいた点について、常に皆と共有しながら進められていたことがとても印象的でした。日本では、疑問点などがあれば後から質問したりすることが多いですが、その場で質問して内容を共有することで皆の理解も深まるので、講義をただ聴くだけでなく、当事者意識を持って講義に貢献する態度は見習わなければならないと思いました。