シロウオ(Leucopsarion petersii)は、踊り食いなどの生食で知られるスズキ目ハゼ科の魚です。太平洋側・日本海側の各地で行われるシロウオ漁は、川岸に組んだ「やぐら」から四手網や袋網を使って捕獲する伝統的な方法で、地域の文化として受け継がれています。若狭地方でシロウオは「イサザ」と呼ばれ、福井県小浜湾では、毎年3月になると産卵のために河川を遡上し、その姿は春の訪れを告げる風物詩として親しまれてきました。
しかし近年、河川改修などによって産卵場である砂礫底が失われ、遡上する数は大幅に減少しました。現在では環境省の絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。さらに漁業者の高齢化も進み、シロウオ漁はほとんど見られなくなりました。その結果、近くの川にシロウオが生息することを知らない人も増え、十分な保全対策がとられないまま、この魚は姿を消してしまうかもしれません。
この調査により、河川での親魚の遡上や産卵の様子を調べ、孵化後に海へ下った仔魚のすみかを探し出し、減少の原因を明らかにしていきます。