長崎・佐賀・福岡・熊本の4県に囲まれた有明海は、3つの干潟がラムサール条約に登録され、ムツゴロウなどの特産種が多数生息する生物多様性の宝庫です。その豊かさは、周囲を多良山系や阿蘇・九重山系に囲まれ、筑後川など多くの河川が流入する、森里海のつながりによって支えられています。
有明海周辺では、20世紀後半に大規模な河川改修が続き、1997年の全長7㎞に及ぶ諫早湾潮受堤防の設置を契機に湾奥部の干潟が消失しました。これらの大規模な事業は社会事情が反映されたものであり、これによって地域の事業者の間で溝が深まるなど、社会にとっても大きな影響が出ています。どうすれば再び豊かな自然と地域社会のつながりを戻せるかが本地域の課題となっています。
このプログラムでは、潮受堤防の外側に流れ有明海に注ぐ長里川と、堤防の内側に流れ海に流入しない境川、諌早市中央を流れる本明川を中心に、ニホンウナギ、そのエサとなる生物や共生する生物の生息状況を調査し、比較・検証します。