プログラム概要
生き物の季節的な応答(生物季節;Phenology)は、それぞれの生き物が気温や湿度、日照などの気候条件の変化を感じ取ることで生じます。そのため、生物季節の開始日を長期的に記録することは、生き物の活動に適切な時期の変化の記録となります。その長期的な変化を全国規模で評価する事は、気候変動が生き物や生態系に与える影響を解析するうえで非常に重要なデータです。
虫の鳴き声は、写真や標本では残すことができません。私たちが聴覚をつかって(一部は機械の力も使って)把握する必要があります。そのためには多くの方の協力が不可欠です。季節の変化を耳で感じる経験は、いつもの道を少し特別な場所にしてくれることでしょう。
ボランティアの役割
ボランティアは、生活圏で聞こえるセミ類やバッタ類の初鳴きを観測し、観測日や位置情報の記録を行い、鳴く虫の声を録音して、それらのデータを研究者に提供します。
セミ類は、アブラゼミを必須とし、何種類でも観測可能です。
必須種目:アブラゼミ
任意種目:ヒグラシ、ツクツクボウシ、ミンミンゼミ、クマゼミ、ニイニイゼミ
バッタ類は、エンマコオロギを必須とし、何種類でも観測可能です。
必須種目:エンマコオロギ
任意種目:キリギリス、クツワムシ、スズムシ
オンラインによる事前説明会(5月25日木曜日19:00に予定)やマニュアルで、詳しい方法を説明しますので、調査に関する特別な知識や技能はいりません。詳しくはプログラム解説書をご覧ください。
研究者・協働する方々の紹介

西廣 淳(にしひろ じゅん)先生
国立環境研究所気候変動適応センター 副センター長
生物多様性保全・自然再生を促進するための調査研究に従事。専門は生態系を考慮した気候変動適応や湿地の生物多様性保全・生態系修復。

辻本 翔平(つじもと しょうへい)先生
国立環境研究所気候変動適応センター 特別研究員
都市景観における送粉生態系の調査研究や生物季節モニタリング全般の業務に従事。専門は、送粉生態学。