持続的な農業を考える上では生態系と農業の関係はとても重要な課題です。農業では作物以外の植物を雑草と呼び、虫は多くの場合作物に害を及ぼすものであり淘汰すべき対象とされてきました。一方、地球上の生物多様性は急激に減少しており、農業においても生物多様性をいかに保全するのかは喫緊の課題となっています。
世界農業遺産に登録された山梨市を含む地域の果樹園では、雑草を生やし、管理しながら栽培する雑草草生栽培が広く行われており、これが地域の生物多様性の保全と密接に関係していることが明らかになっています。しかし、果樹園に「どんな生物がすんでいるのか」ということと、「生物たちがどのように関わりあってくらしているのか」については、まだまだよくわかっていません。
このプログラムは、世界農業遺産登録のキーポイントでもある「雑草草生栽培」を実施されている果樹園で生きものの調査を行い、これからの農業と生物多様性の間に持続可能な関係を築くためのポイントについて考えます。