認定特定非営利活動法人 アースウォッチ・ジャパン[本部:東京都文京区(東京大学キャンパス内)、理事長:松田 裕之(横浜国立大学大学院名誉教授)、以下 アースウォッチ・ジャパン]は、2024年12月14日開催の第23回社員総会および定例理事会において、任期満了に伴う理事長の交代と新任理事3名の就任が決議されましたので以下により発表します。
1.理事長の交代について(2024年12月14日付け)
任期満了に伴い、2012年11月から理事長を務めてきた浦辺徹郎から、横浜国立大学大学院名誉教授の松田裕之が新理事長に就任しました。なお、前理事長の浦辺は理事に着任し、引続きアースウォッチ・ジャパンの運営に関わってまいります。
新理事長 氏名 | 松田 裕之(まつだ ひろゆき) |
プロフィール | 1957年福岡県生まれ。麻布高校、京都大学理学部、同大学院博士課程を卒業(理学博士)、日本医科大学助手、中央水産研究所主任研究官、九州大学理学部助教授、東京大学海洋研究所助教授、横浜国立大学大学院教授を経て、同大学名誉教授。専門は生態リスク学。日本生態学会元会長、日本海洋政策学会理事、マリン・エコラベル・ジャパン協議会アドバイザリーボード座長、Pew Marine Conservation Fellow |
新理事長ご挨拶
近年、従来の科学的枠組みを超えた、伝統知と科学知の融合が進んでいます。また、市民が科学の発展に果たす役割も、ますます重視されるようになってきました。1971年の創立以来、アースウォッチは市民科学の担い手として、企業のご支援のもとに、研究活動を進める野外調査の現場に市民ボランティアを派遣する活動を行って参りました。今後、環境問題はますます重要性と緊急性を増し、かつ新たな「人と自然の関係」を求められる時代になりつつあります。多様な価値観や立場を尊重し、自由で活発な意見交換の場を提供することで、市民科学のさらなる発展に尽力していきたいと考えています。皆様のご参加とご協力を、心よりお願い申し上げます。
横浜国立大学大学院名誉教授
アースウォッチ・ジャパン新理事長
松田 裕之
2.新任理事3名を含めた運営体制について(2024年12月14日付け)
2024年12月14日開催の第23回社員総会および定例理事会では、新任理事3名を含めた新たな以下の運営体制(理事・監事計14名)の選任も決議されました。
選任区分 | 役職 | 氏名 | 職業等 |
新任 | 理事 | 川原 浩揮 | フジテレビジョン 気象プロデューサー 気象予報士/防災士 |
橋本 禅 | 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 | ||
藤原 啓一郎 | LA-Lab 代表 | ||
再任 | 理事 | 浦辺 徹郎 | 東京大学 名誉教授 |
小谷あゆみ | フリーアナウンサー 農業ジャーナリスト | ||
後藤 敏彦 | サステナビリティ日本フォーラム 代表理事 | ||
竹本 徳子 | Miller Takemoto & Partners シニアパートナー | ||
長沼 史宏 | アステリア(株)執行役員・コミュニケーション本部長 ブロックチェーン推進協会 事務局長 |
||
藤田 香 | 東北大学大学院生命科学研究科 教授 | ||
松田 裕之 | 横浜国立大学大学院 名誉教授 | ||
安田 重雄 | アースウォッチ・ジャパン 元事務局長 | ||
伊藤 雪穂 | アースウォッチ・ジャパン 事務局長 | ||
監事 | 小津 博司 | 弁護士 | |
布井 知子 | アースウォッチ・ジャパン 前事務局長 |
なお、次の理事からは、任期満了をもって退任の申し出がありました。
退任:理事 石田 秀輝(2024年12月14日付け)
前理事長からのコメント
このたび理事長を退任するにあたり、ひとことご挨拶申し上げます。
アースウォッチ・ジャパンの歴史は、ベルリンの壁が崩壊した1989年11月9日に遡ります。当日ベルリンで開催されていたローマクラブの会合に参加していた初代理事長難波菊次郎が、Earthwatchの創設者Brian Rosboroughの招待講演を聴き、その活動とミッションに大きく共鳴したことが創設のきっかけと聞いております。難波理事長は数年にわたる本部との折衝を経て、1993年にアースウォッチ・ジャパンを立ち上げ、2003年に特定非営利活動法人の認証を受けるなど、2009年に急逝されるまで組織の基礎作りに尽力されました。
私は2012年11月26日に、都留信也理事長(当時)の後を引き継いで3代目理事長となりました。翌年3月11日には事務局を現在の東京大学農学生命科学研究科フードサイエンス棟に移転し、4月1日には認定特定非営利活動法人に認定されました。アースウォッチのミッションを進めていく上で大きな力となったこれらの改革は、安田重雄事務局長(当時)の努力の成果です。その後、布井知子事務局長を経て、2022年12月10日に現在の伊藤雪穂事務局長が就任しました。
2023年には、無事設立30周年を迎えることができました。その間、企業環境の変化に伴う企業側の法人会員の厳選化や寄付金制度の見直し、コロナ禍の進行に伴う活動の停滞や停止などの激変がありましたが、多彩な理事・監事の面々のアイデアで希望を失わず乗り越えられたのが、楽しい思い出になっています。
この間、「市民科学」というアースウォッチのミッションを愚直に守り続けてきました。人々が研究者とともにデータを集めて環境に関する洞察を行い、コミュニティーの行動と認識の変化を促すというものです。好きなアースウォッチのモットーは、non-political(政治的に動かない)、non-advocative(挑発的行動をしない)、non-confrontational(”敵”を想定しない)でした。
幸い最近では、地球環境の激変を緩和するために生物多様性を保護する重要性への理解が進んできたのを感じます。弊団の活動に賛意・ご支援を下さっている企業・団体や、活動に参加下さった多くのボランティアの皆様も着実に増加し、事務局長/事務局員とともに活動を発展させることができたことは望外の喜びとするところです。
最近ではやっと、中規模の環境保護NPOとして安定した将来像を描けるようになりました。この機会に、長年研究や社会実践を通じて生物多様性保護のあり方に拘わってこられた松田裕之新理事長を迎えることができるのは、言葉に尽くせない喜びです。新理事長への皆様の変わらぬご支援を心からお願い申し上げます。
東京大学名誉教授
アースウォッチ・ジャパン前理事長(現・理事)
浦辺徹郎
プレスリリース原稿はこちらからご覧いただけます。